2026/01/19 22:36

先日、ワイン好きの方々とワインの話をしているときに、

「ワイングラスでスワリングするとステムがほんの少しシナる感じがする。」

と話したことがあります。

 

返ってきたのは、

「いやいや、グラスがシナるわけないでしょう。」

という、軽い笑いとともに少し呆れるような反応でした。 


確かに、そう言われればその通りです。

ガラスは硬く、脆く、撓る素材ではなく、常識的にはそうです。私もそれには同感です。

だから、「撓るわけがない」と思う人がいても不思議ではありません。それが普通の反応かもしれません。

 

「でも、本当に撓るんですよ。」

私自身その時はどう説明していいのか言葉が見つからなかったのですが、この「撓る」感触は何度も経験しているのです。だから同じように感じる人も当然のようにいると思っていました。

 

まず前提として、誤解してほしくないのは、グラスが目に見えて曲がる、という話ではありません。

 

- スワリング時にだけ感じる「応答」

そうした感覚のレベルの話です。

でも──

もしかしたらこの「撓り」心当たりがある人もいるのではないか?と同時に考えました。

言葉にするのは難しい、「撓り」。  撓りを同感できる仲間が欲しい。

 

 

そこで気になった私は色々と調べてみました。

 

―なぜワイングラスは撓りを感じさせるのか?


答えを見つけました。

 

私が「撓り」を感じるワイングラスは、Zalt製のグラスです。手吹きの一体成形です。

そのステムは美しさを感じるほどにとても細く、グラスのリムの厚さは極限まで削ぎ落とされています。

この構造では、物理的に完全な剛性は成立しません。

スワリング時に生じる遠心力、手首の微妙な動きによって、わずかに弾性的な微撓みが生じるのです。

 

これは欠陥でも、劣化でもなく、むしろ「最初から織り込まれた設計上の特性」との事。

 

撓ると言うと、「折れやすい」「不安」という印象を持たれがちですが実際は、むしろその逆。

 

硬く太いステムは、確かに撓りません。その代わり、力が一点に集中し、限界を超えた瞬間に突然折れます。

 Zaltのグラスは

- 撓ることで力を逃がす

- 応力を分散させる

- 瞬間的な衝撃を受け流す

 

つまり、しなやかさによる安全性を選んだグラスが撓るのです。

 

この「撓り」は、

 

- 意識しないと感じ取れない

- グラスを信頼していないと分からない

- 「道具として使い込む」ことで初めて見える

 そういう性質のものだそうです。

  ーなるほど。奥深い。

私はそんなグラスはもったいなくて日常的に使い込むことはできません。本当にこのグラスで飲みたいワインだけ、そのグラスで飲むのです。美しさも相まってその時の美味しさは格別で

 

ワインの動きに逆らわず、

硬さで支配せず、

ただ寄り添う。

 

その感覚を生んでいる要素の一つが、このごくわずかな「撓り」だったのです。

 

やっぱりワイングラスの中には「撓る」ものもあるのです。